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「ステラ!」
ルーシーはイライラして、声をあげた。
リビングからトコトコ一匹の犬が小走りにやってきた。耳と目のまわりが茶色、その他はほぼ全身真っ白。犬はルーシーの目の前にちょこんとおすわりをすると、じっと飼い主を見上げた。
「ステラ?どこなの?」
ルーシーはステラがいることがわからなかった。
ワン!ワンワンワン!
ルーシーはゆっくりとしゃがむと、手探りでステラのモジャモジャの顎の下を撫でた。犬は気持ち良さそうに「クゥ」と喉を鳴らした。
「あなたでしょう?私の大事な蜜蝋、どこに持って行ったの?」
犬は嬉しそうにしっぽを振った。ルーシーは立ち上がり、壁伝いにリビングに移動すると、犬のベッドの中を探った。何か触れた。握ると「ブゥ」と間抜けな音がした。ステラのお気に入りのおもちゃだった。他に骨の形をしたガム、妹のパティからもらったばかりのテニスボールがあったが、蜜蝋は見つからなかった。
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