拾う男

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直後に地獄に突き落とされるなんて考えもしないで… その夜は祝賀会。みんな祝いの美酒をしこたま飲んだ。 樹は未成年という理由で、同様のチームメイトとジュースでの乾杯を余儀なくされた。 不満は有り余るが、常にクリーンであることはスポーツマン精神の基本だから仕方がない。 要は二十歳までの我慢だ。 我慢なら自信はある。 ジュヴァリアルの選手の寮はグラウンドから徒歩八分の場所にあった。 かろうじて雨露を凌げるという表現がぴったりの超レトロなおんぼろアパートと、隣に建つ、もとは何かの工場だったと思われるバラックが彼らの城だ。 特に住むことを強制されていたわけじゃない。
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