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『希美さん、データセンターの工事で、ゼネコンから手抜き工事を要求されているという話を知っていた?』
瑞穂は、自分が銀行出身だから手抜き工事の事情を知らされていなかったと疑っているようだった。
『当社が……、ですか? いいえ、そんなことは噂にもありませんでした』
『そうなのね。それをお局さんは、どこで知ったのかしら?』
『えっ……。美智さんは知っていたのですね。やっぱり、すごい。彼女は何でも知っているのです。私が彼女のことを調べていたことにも気づいていました。……それでといってはなんですが、美智さんが自宅で何をしているのか、突き止めることはできませんでした。申し訳ありません』
『そう、何もわからなかったということね。仕方がないわ……。彼女、怒っていたでしょ?』
数週間前まで美智の行動の調査を要求していたにもかかわらず、瑞穂は意外とあっさりしていた。関心が別の所に移ったものらしい。
『はい。でも、許してもらえました。総務の三井課長にまで教えられました。美智さんは誰よりも会社のことを考えているそうです。私もそうなのだと思います。だから、ゼネコンの動きもわかったのではないでしょうか?』
『止めて。霊能力者じゃあるまいし……。なんだか、ミイラ取りがミイラになったという感じね』
瑞穂がぼやいた。
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