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二宮聡史係長が予約していた席は木村たちのテーブルの隣で、4人掛けの席がふたつ並べられていた。美智が弥生に近い端の席に座ると、同じ総務課の川俣京子、矢吹桃香、経理課の岡本皐月と女ばかりが同じテーブルに座った。並んだテーブルには総務課長の三井庄司、二宮、土橋孝雄、経理課の初瀬仁が座った。
「もっとおしゃれな店が良かったな」
入社2年目、取引先の社長令嬢でもあり遠慮というものを知らない皐月が口を尖らせて店内を見回した。
「ご免よ。ゴールデンウイーク中で、おしゃれな店は予約でいっぱいだった」
苦笑する二宮の背後で、おしぼりを運んできたユニフォーム姿の中年女も苦笑した。
「すみませんねぇ。オシャレな店じゃなくって……」
「あ、そういう訳では……」二宮が頭をかく。
「これだからお嬢様は……。席があるだけ、ありがたいと思えよ」
初瀬が皐月を睨んだ。
「先輩。初瀬さん、パワハラですぅ」
皐月が美智の背中に顔だけ隠し、今にも泣きだしそうな声をだす。
「まったく……」初瀬は黙った。
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