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音声データの確認を進めると、社長と会長の会話に釘付けになった。
『親父、これはなんだ?』
『お前が高野須に渡した金だ。経理に戻しておけ』
社長が支払った口利き料を会長が取り戻したとわかって美智は歓喜した。
「ヨッシ! ひとつ片付いた」
思わず声を上げ、万歳までした。
しかし、その喜びもつかの間のことだった。
『山一君が取り戻してくれたのだ。感謝するのだな』
「山一常務が……」美智は、チヅルの目撃談を思い出していた。社長が高野須に封筒を渡した後、山一が高野須に接触したという話だ。その時彼が、高野須から口利き料を取り戻してきたのだろう。
「でも、どうして……」美智は首を傾げた。山一が金を取り戻した理由がわからない。まるで野村社長の尻拭いをしているようではないか……。
『こんなことをしたら、技能実習生が回してもらえなくなるぞ』
社長は、会長に反発した。
『山一が言うには、高野須は畑中議員の私設秘書で、もっぱら危ない仕事を担当しているそうだ。外国人技能実習生を優先的に回すというのも、彼の金集めの手法らしい。国の事業なのだ。金を渡さなくても技能実習生は割り当てられる。噓だと思うなら、畑中議員に訊いてみろ』
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