新生活

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新生活

「じゃぁ、行ってきます」  朝7時前、自転車に乗り高校を目指す。  家の前の長い坂道を下る。坂の上から見る街並みは朝日に照らされ、キラキラと輝いて見えた。  父が亡くなって3か月。僕は高校に進学していた。  坂道を下り、信号待ちをした後、進路を左へ。そのまま道なりに進み、途中で左に折れる。  畑のど真ん中を通る農道を突っ切ると、右手に僕の通う高校が見えてくる。この経路が一番早いことを最近知った。 「佐々木くん、おはよう」  駐輪場に自転車を止め、バッグを籠から取り出していると、うしろから声を掛けられた。同じクラスの桜井美帆だ。 「おはよう」  僕は返事をすると、後ろから駆けてくる桜井を待って、一緒に教室へと向かった。 「高校生になると、課外授業があって大変だね。中学の頃が懐かしいわ」  桜井とは家が近所で、幼い頃から家族ぐるみの付き合いをしていた。校区が一緒なので、自然と僕と桜井は同じ中学で3年間を過ごした。  桜井はもちろん父のことを知っており、葬儀では大粒の涙を流しては別れを惜しんでくれた。 「中学の頃つっても、まだ3か月だよ。懐かしむのは、早すぎじゃない?」  僕は下駄箱で靴を履きかえながら答えた。
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