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打ち上げ
「「「かんぱーい!!!」」」
居酒屋で打ち上げなんて初めてだ!
佐藤さんとは席が遠いな…
「神田、初お仕事お疲れ!」
「お疲れ様です!西田先輩」
でも西田先輩と隣だぁ!いい声だな。
西田先輩は常に声は低めで男の僕でもドキッとする。
「いやーそれにしても神田は初仕事なのにすっごくハヤト(作中の護り人)の感情上手く演じてたね」
「ありがとうございます!分からないことだらけだったけど…ほんとたくさんの先輩に助けられました」
今思い出しても最初の収録はとても良かったとは言えない。
「でも初めてで主役があいつだし大変だったろ?」
「いっいいえそんなことは!」
「席遠いし遠慮しなくていいぞ。あいつとは同期なんだがクールであまり喋らないからな。おれもそこまで親しくはないんだ。」
そう、佐藤さんはめちゃクール。でも、アドバイスをしてくれたりするから優しい人だと思う。声も優しいんだよなぁ。
「はいはーい!注目!監督からみなさんに一言!」
「み、みんなっ…グス…ッ……」
えっ?!監督泣いてる!
「ほんとに一緒に最高のアニメ作ってくれてありがとう。いい物ができる時は決まって全員熱い気持ちでやってくれてる。これから違う現場でもそれ忘れず頑張れよー!また俺の作品も来いよ!」
「行くに決まってます!」
「みんな!監督にかんぱーい!!!」
「「「かんぱーい!!!!」」」
ほんとにいい現場だったな。
佐藤さんはどう思ってるのかな。
あれっ!今、目が合った?こっちを見てたのかな?
えっ佐藤さんがこっちに来る?!
「神田くん、横座ってもいい?」
「なになに?珍しいなお前が共演者と絡むなんて」
「西田いたのか?きづかなかった」
「おい!いたわ!」
「佐藤さん、あのどうぞ」
「ありがとう。よいしょっと」
うわー!座るときよいしょなんて言うんですね。貴重すぎます。
それにしてもアフレコはほとんど2人だったのにこういう場はなんか緊張するな。
「西田ーー!こっちこーい!」
「はーい!!制作に呼ばれたで行くわ」
「はい!また!」
うそですーーー!西田先輩行かないでぇ。2人になるじゃん。
「酒、飲める?」
「あっ!わりと!」
「そっか、これ俺好きなんだ。飲んで?」
「…っ、はい」
声が良すぎですよ佐藤さん。あまり酒は強くないのに嘘ついちゃったしでも断れない!
ごくっごくっ。えっすごいおいしい!
「おいしいです。あまいんですね!」
「ふっよかった」
「佐藤さんが笑った」
「えっ?」
失礼なこと言っちゃったー!
「俺だって笑うよ?」
「ご、ごめんなさい!」
「やっぱさ、アフレコの時の俺って怖かった?」
「そんなことないです!アドバイスしてくれたり、何より真剣な佐藤さんを側で見れて勉強になりました!」
「よかった。俺、新人さんいつも怖がらせてるらしくて」
「僕は佐藤さんが好きです」
「えっ?!」
「佐藤さんの声ずっと聞いていたいって思います」
「あっそういう意味ね」
あれ、アルコールがもう効いてるのか?なんか頭がふわふわしてきた。
「佐藤さんの声は甘くてでも勇者のタクミ(作中の勇者)はかっこよくて、ずっとずっと好きでした」
「ありがとう、もういいからっ。あれ酔ってる?」
「酔ってないですよー?」
あれ、なんか顔が近い?
ポスッ。
佐藤さんの体があったかい。眠くなってきた。
「えっ、ちょっと神田くん?ほら水飲んで」
「佐藤さんの声がもっと聞きたいですーお願い」
「…っ、酔いすぎ。寝てるし」
「あれ?神田くん佐藤に抱きついてるじゃん!かわいいーー!」
「林さん、ちょっと助けてください」
「佐藤嬉しそうな顔してんのにいいのかなー」
「してませんよ。神田くん起きて?」
なんか声が聞こえるー。気持ちいい。
「もう知らないからね、神田くん」
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