赤色矮星

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昔から言われる知識労働層(ホワイトカラー)の人間には少ない肌色だ。黒人種とも黄色人種(モンゴロイド)とも赤き肌種(オーストロイド)とも違う。 やや青みを帯びた灰色の肌は、この星に多く含まれる銀の色素沈着もあるだろうとされたが、他の惑星でも見られるから銀の沈着ばかりが原因ではない。 新人類。宇宙へと拡散し、最も数の多いK型恒星系の惑星に適応した新しい人の肌色(ブルーカラー)なのだ。 その肌色をかつて想像上で創り上げられたグレイ型宇宙人の様だと笑う者も居る。彼等は遠い未来から時空を遥かに超えて来た私達の祖先じゃないかねと。 コズミック・ジョークだと一時期流行ったが、ほぼ今では忘れ去られている。 なお、赤く暗い星からの光では育つ植物の色も地球とは異なり、より多くの葉緑素を含まなければならない為に、濃い緑か、紫色に変化した地球産に見られるものよりも効率が七倍以上も良いエネルギー生産量を発揮する葉緑素を持つ。お陰で世界の色彩はトーンを落とし、元より黄昏の中にある生活圏の色は地球型視野の人にとっては陰鬱なイメージに覆われる。 空は青いもの。 だが、この星では通常赤いと認識される。 青空の広がる場所も同じ惑星の中にあるが、そちらは常時昼の世界になる為に気温は上昇し、灼熱地獄(インフェルノ)と呼ぶべき過酷な砂漠地帯が待ち構えている。逆に夜の続く側の世界は極寒地獄(コキュートス)だ。
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