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「蓮?」
「!」
花咲里の掌が俺の頬を撫でていた。
「どうしたの?」
「どうしたって」
「どうして泣いているの?」
「泣いている?」
「うん……」
頬を優しく撫でた花咲里の掌が俺の前に差し出された。掌は薄っすらと濡れていた。
(涙?)
俺は涙を流していたのかと、その時になって気が付いた。
「なんで涙なんか」
「……嬉し涙?」
「え」
「あ、えっと……違っていたらごめん」
花咲里が顔を赤らめながらも呟いた言葉が妙にしっくり来た。
(嬉し涙……あぁ、そうか)
「それだ」
「え」
「ずっと……ずっと好きだった女とひとつになれて、俺、嬉しいんだ」
「……蓮」
「花咲里は? 嬉しくない?」
「っ、わ、私、は──」
「私は?」
「~~~私だって……嬉しいよ」
「!」
丸めた手を口元にやって少し顔を背けたその仕草がまた堪らなかった。
(あ、ヤバい…!)
花咲里の恥じらう姿に奥に入り込んでいるモノが膨張した気がした。
「……え、な、なんか……」
花咲里もそれに気が付いたのかほんのり色づいていた顔が更に赤さを増した。
「ごめん……動きたい」
「動き……! あ、うん……」
経験のない者同士でもセックスが挿入れて終わりではないとなんとなく分かっていた。
本当のことをいうと挿入れたままの状態で花咲里と話しているのは中々に辛かった。
早く花咲里の中をかき混ぜたくて仕方がないと理性の裏側にある煩悩が疼いていた。
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