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俺にとってこの夜は人生において最高に幸せな時間だった。
まだたかだが二十数年しか生きていない人生だが、これからもっと幸せだと感じる時があると思いつつもその全ての幸せだと思える出来事には必ず花咲里という存在が共にあるということだけは間違いなかった。
「……すぅ……すぅ」
「……」
(あぁ……本当に可愛い!)
花咲里と共に初めての経験を済ませたその夜、隣で静かに寝息を立てている花咲里の寝顔を飽きもせずにジッと見つめている。
今夜は花咲里の知らなかった顔を沢山見て知ることが出来た。
そのひとつひとつが堪らなく可愛いものばかりで結局ベッドから浴室、そして浴室から寝室に戻った其々で花咲里を抱き潰した。
風呂上がりで抱いた時には花咲里は半分意識を飛ばしていた。
そんな花咲里を余所に独りよがりな気持ちのまま続ける訳にもいかずに、途中半端で終えてしまった俺の体の熱は中々引かずに今に至っている。
(なんでこんなに可愛いのだろう)
花咲里の全てが好き過ぎて、花咲里の全てを奪ったにもかかわらず俺の中では未だに『もっともっと──もっと欲しい!』と欲が膨れ上がっている。
満足しているはずなのに……それでもまだまだ花咲里が欲しくて堪らない。
これ以上花咲里を求めてはいけないと思いつつも、花咲里に触れることが止められない。
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