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「……花咲里」
頬に触れながら小さく名前を呼んでも花咲里は何も応えてくれない。
そんな花咲里の態度に若干の寂しさを感じながらも、それでも寝顔を見つめ続けていると次第に瞼が下がって来る。
こんな心地の良い導眠は初めてかもしれない。
まだ勿体なくて寝たくない。この幸せの余韻にまだまだ浸っていたい。そんな少しの葛藤があったが気が付けばいつの間にか微睡んでいた。
（願わくば──夢の中でも花咲里に逢えますように……）
意識を無くす寸前、願ったのはそんな細やかなことだった──。
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