5780人が本棚に入れています
本棚に追加
恐ろしい妄想は程々にしてベッドからそっと抜け出し寝室を後にした。
少しベタつく体を洗い流すため浴室に向かってから朝食の準備をしようと思った。
少し熱めのシャワーを浴びながら体を擦っているとあちこちにうっ血したような赤い痣が点在していた。
「何これ」
小さく呟きながらその痣の部分を触るけれど痛みはない。そうしてハッと気が付く。
(あ……あぁぁぁ……もしかしてこれが、いわゆる)
キスマークというやつなのか! と。
まさか自分の体にそんな如何にもなマークを付けられる日が来るとは思ってもみなかったからとても驚いた。
しかもそれがある場所がこれまた恥ずかしい場所ばかりで更に驚いた。
(しかし……キスしただけでこんな風になるなんて……)
唇にキスをしてもこうはならないけれど──なんて考えて、あぁそうか、唇は元々赤いから目立たないのか、なんて自問自答で変に納得した。
恋愛初心者の私にとってはキスマークが付く仕組みさえ分かっていなかったのだった。
さっぱりした体で早速朝食とお弁当の支度を始めた。
しかし無心になろうとすればするほど余計頭に浮かぶのは昨夜の行為。
私にとっては本当に幸せなひとときだった。恥ずかしさや初めてということからの緊張感、不安感があっても、蓮も同じく初めてなのだと思えばその羞恥すら幸福に感じた。
最初のコメントを投稿しよう!