spicesugar 第九章

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「俺も手伝う」 「え、いいよ。まだちょっと早いしもう少しダラダラしていたら?」 昨日のことで疲れているんじゃないのと付け加えようかと思ったが、寸前でそれを言うのは恥ずかしいと思い留めた。 「ダラダラしたくない。花咲里と一緒に料理したい。傍にいたい」 「……」 (ははっ、相変わらずド直球に来るなぁ) そこまで言うのならと私の方が折れて蓮と共に朝食とお弁当の支度をすることになった。 いつもなら起こしに行くまで寝ている蓮。今日に限っていつもとは違う行動を起こしたのはやはり昨夜のことがあったからなのか。 (蓮も私と同じなのかな) なんて思ったらこんな些細なことですら幸せな気持ちになった。 洗顔をして軽く身支度を整えた蓮が私の指示の元、作業を進めて行く。 こうやってふたりでキッチンに立って料理するのは久しぶりだった。今ではすっかり料理という家事は私の務めになっていたから。 (料理こそしなくなったけれど相変わらず後片付けはしてくれるんだよね) 蓮がさり気なく家事を手伝ってくれるというのは変わらず続いていた。それがまたこれ見よがしに『どやぁ、俺が手伝ってやっているんだぜ』なんていう雰囲気じゃないところが本当に尊敬するし感謝の気持ちでいっぱいだ。 (……あ、そういえば) 突然甘えられて忘れてしまっていたけれど、蓮に確認したいことがあったのをここで思い出した。
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