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「俺自身、兄姉妹弟多かったから……多くて凄く幸せだったから……」
「あ……うん」
「勿論ひとりっ子だっていいと思う。子どもは神様からの授かりものだから自然に任せればいいと思うけど……俺、子ども好きだから……こんな見た目でも」
「見た目は関係ないよ」
「うん……だからいずれ子どもは欲しいと思っている。だけどそれは今じゃなくて……」
「……」
「今はまだ花咲里との新婚生活──というか、ふたりきりでいる時間を愉しみたいというか、そういう行為も……まだじっくりと……いっぱいしたいっていうか……」
「………ぷっ」
「!」
かなり我慢して来たけれど限界だった。これ以上蓮の分かり過ぎる考えを訊き続けるのに耐えられなくなった私はとうとう吹き出してしまった。
「ふ、ふふふっ……あはははっ!」
「か、花咲里?! なんで笑って──」
蓮が真っ赤になりながらももの凄い形相で食ってかかった。
「ごめ……ごめん…! だってすっごく蓮らしいなって思ったら……」
「俺、らしい?」
「うん。蓮だったらそう思うんだろうなって……そういう人だって分かっていたのに一瞬でも疑っちゃった自分が情けなくて」
「……」
口下手な蓮が一生懸命自分の考えを言葉にしてくれている。それだけで先刻受けた衝撃なんてあっという間に散り散りになってしまうほどに今、とても幸せな気持ちになった。
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