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私がひとしきり笑い終わるまで蓮はジッと待っていてくれた。その顔は時々見る捨て犬のような情けなくて頼り無げな表情だった。
(本当、見かけと中身のギャップが激しいなぁ)
勿論そんな蓮が大好きだということは言わずもがなだけれど。
「ありがとう、蓮」
「え」
ようやく笑いが治まった私は真っすぐに蓮を見つめて告げた。
「子どものこと、ちゃんと話せてよかった」
「花咲里……」
「昨夜のこともそうだけれど、分からなくて不安だったこと、全部ちゃんと蓮の口から訊けてよかった」
「うん」
「だから私もちゃんと伝えるね」
「?」
蓮にばかり言わせるのはフェアじゃないと思った。私だって蓮に言いたいことがあった。素直な気持ちをきちんと蓮に伝えたかった。
「あのね……私も欲しいよ、蓮との赤ちゃん」
「!」
「出来るかどうかは分からないけれど……神様が私と蓮の間に授けてもいいと思ったら出来る、と思う」
「……あぁ」
「だからその時まではその……蓮とふたりで……いちゃいちゃ、したい」
「?!」
「私、蓮とするの……すっごく好き、かもしれない」
「~~~っ」
「すっごく気持ちよかったから……だから──」
「か、かかかっ、花咲里!」
「!」
最後まで言い切る前にいきなり蓮に抱きしめられた。
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