spicesugar 第九章

17/50
前へ
/353ページ
次へ
【今、会社に着きました】 「はぁぁぁ~~~よかったぁ」 送られて来たメールを目にして深く息を吐いた。 朝食の途中で蓮に求められた私はその誘惑に打ち勝つことが出来ずにそのまま行為を受け入れてしまった。 勿論そういうわけなのでいつも蓮が家を出る時間よりやや遅れてしまい、全力疾走してギリギリ始業時間に間に合うかどうかという際どいスタートになった。 蓮を送り出す際「車に気を付けてね!」と注意した私は急ぎ過ぎて事故に遭うことだけが心配だったけれど、それも今のメールで解消された。 「さて、と」 蓮の無事を確認したところで洗い終わったばかりの食器を拭きながら今日の段取りを頭の中で思い描いていた。 (とりあえずは……) 冷静になっている今のこの状況で目にするには少しばかり勇気がいる仕事をさっさと片付けなくてはいけない。 少しだけ想像しても思わず体中に熱が帯びてしまう。 (本当にもう……たった一日のことなのに) 昨日とは違う私がいる。蓮と心も体もひとつになった今の私は正真正銘蓮と夫婦になったのだという自覚がじわじわと湧いて出て来ていた。 寝室のベッドのシーツを剥ぎながら、この布の上で繰り広げられたあられもない行為を思い出しては悶えてしまう私は恐らく変態だ。
/353ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5775人が本棚に入れています
本棚に追加