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「いらっしゃいませ」
ドラッグストアに着いた俺は更に足早にアレの売り場を目指した。いや、正確には何処にアレが置いてあるのか皆目見当が付かずにただ闇雲に店内をグルグルと徘徊していた。
(なんだ、ないぞ)
頭上に掲げられている商品棚の品目が書かれている看板を頼りにしても何処にもアレの名前を見つけることが出来ない。
(あぁ……こうしている間にもどんどん時間が)
経ってしまっているという焦りから意を決して店員に場所を聞くことにした。
しかしその肝心の店員も見当たらず焦りは最高潮に達し、こうなったらレジにいる店員に聞こうかと足を向けたその時、目の端に入った年配女性が店員らしい制服を着ていた。
その瞬間、まるで天から差し向けられた神の使いのようなその女性に声をかけていた。
「すみません!」
「はい──……ひぃっ!」
その女性は俺の顔を見た瞬間、明らかに驚いた顔をしていた。恐らく俺の顔が怖かったのだろう。初対面の人からこんな反応をされるのは日常茶飯事なので俺は大して傷ついたりはしない。
「あの、探している物があるんですが」
「は……さ、探している物?」
「はい、すぐにでも欲しくて。場所を教えてください」
俺の口調が想像していたような人物ではないのかもと理解したのだろうその女性は、最初に覗かせていた警戒心が薄れて行ったように見受けられた。
「あぁ、はい。何をお探しですか」
「え……えぇっと……その」
「?」
まさかこの期に及んでアレの名前を口にするのが恥ずかしいとか思ってしまうとは。
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