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夫婦としての道のり
祐輔が出どころから帰ってきた。
優菜は、うれしくてしかたがなかった。
「優菜、ただいま」
「おかえりなさい、あなた」
「なんか、あなたって呼ばれるの
照れくさいな。
だけど、これから夫婦でやっていく。
子供も、もうすぐ産み月だ。
無事に産まれてほしいと思っているよ」
そう祐輔は、優菜と
結婚をして夫婦となった。
獄中の間に祐輔は、
優菜との婚姻届を出していた。
結婚式を挙げることはなかったが、
こうして夫婦でいられる喜びに
幸せを感じていた。
「優菜、子供の産み月に
間に合ってよかったよ。
寂しい思いをさせてしまったな」
「それは、いいんですよ。
あなたが、こうして
帰ってきたんですから」
「優菜、おまえは優しいな。
こんなオレのために
ついてきて感謝している」
「何を言うのですか?
この子を守れるのは、あなただけですよ。
私は、体が丈夫な方では
ありませんから、
無事に産まれることを願っているんです」
「優菜、オレは産まれてくる
子供のためにも頑張るよ」
「あなた、今は信用の回復だけを
考えてくださいな。
あなたの信用が回復すれば、
お仕事は自然とついてきます。
それまで、家族と静かに
暮らしていきましょう」
祐輔は、優菜の優しさがうれしかった。
優菜の言うとおり家族で
一緒に暮らしていこう。
もうすぐ、子供が産まれてくる。
子供のために、父親として
誇らしい生き方をしたい。
そう思う祐輔であった。
「腹へった、優菜メシできてる?」
「そう言うと思いました。
お夕飯はできていますよ。
あなたのお義母さんから教えてくれた
あなたの好物をつくって
待っていたんですよ」
「オレの好物?おまえ、いつの間に
母さんから聞いたんだ?」
「あなたが帰る頃には、自分の好物を
欲しがると思いましたから、
お義母さんに教えてもらったんです」
「優菜、ありがとう。うれしいよ、
オレのために尽くしてくれて」
祐輔は、うれしかった。
優菜の優しさに感謝していた。
「オムライスなんて久しぶりに食うよ。
母さんが、いつもつくって
くれたんだよな」
「あなた、お義母さんの味とは
違いますから喜んでくれると
うれしいです。
さぁっ、冷めないうちに
いただきましょう」
祐輔は、優菜のつくった
オムライスを食べていた。
「うまい、優菜のつくってくれた
料理は最高だぜ」
「よかった、喜んでくれて」
「優菜、いつの間に料理を覚えたの?」
「料理は、私のお母さんから
結婚してから困らないようにって言って
料理を基礎から教えてもらったの。
お母さんは、料理がじょうずだったから、
私もそうなりたいって頑張ったわ」
「これからしばらくの間は、
優菜の手料理が食えるんだな。
オレ、うれしいよ。こうして、
おまえがそばにいてくれて幸せだ」
「あなた、私も幸せです。
赤ちゃんがいて、あなたが
そばにいてくれたら幸せです」
祐輔は、優菜を抱きしめて
キスをしていた。
このままの幸せが続いてほしい。
子供が産まれて家族と一緒に
暮らしていこう。
そう思った祐輔であった。
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