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第6話 図星
「ほらほら、止めろお前たち!」
監督が止めに入った。
「児玉。お前、中学時代はライトって言ってたな」
「はい」
「1回、ライト入ってみろ」
「はい」
「上山」
「はい」
「お前はそれだけ動けるなら、ショートやってみないか?」
「すみません。オレ、肩弱いんで、ファーストしかできません」
「そうか・・・。なら仕方ないな。高坂はどうだ?」
「自分はどこでも大丈夫ですが・・・」
「そうか。じゃあショートがいないからショート入ってみろ。よし、続けるぞ!」
監督はなんとか僕や高坂くんと上山くんが衝突しないように
気を使ってくれたのだと思う。
結局、その後も、僕はエラーをしてばかりだった。
上山くんは何も言わなかったが、明らかに呆れかえっていた。
高坂くんはまるで殴り付けるかのように
上山くんへ全力で送球をしていた。
「あっしたっ!!」
練習後、僕と高坂くんがグラウンド整備を始めると、
上山くんと金子くんが近づいて来た。
「お前さぁ、悪いことは言わねぇから、本当に辞めた方が良いぞ」
上山くんがそう言うと金子くんは横でニヤニヤしている。
「お前、まだ言ってんのかよ。しつこいぞ!」
高坂くんが苛立った様子で言い返してくれた。
「はっきり言って、いくら続けたって上手くなんねぇよ。センスねぇもん」
「なんでそんなことが言い切れるんだよ」
「じゃあ聞くけど、こいつと中学3年間一緒に野球やってきて
少しでも上手くなったか?」
「それは・・・」
上山くんと金子くんは顔を見合わせて、ニヤニヤと笑っていた。
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