第1話 オレとアイツの出会い

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第1話 オレとアイツの出会い

オレがアイツと初めて出会ったのは 高校の入学式の後、野球部のグラウンドでだった。 オレは中学時代のチームメイト、上山、浅野 上山の連れの金子と4人で野球部の練習を見学しに行った。 少し離れたところでアイツも連れと一緒に見学に来ていた。 「このレベルなら、お前ならすぐにレギュラー獲れるんじゃね?」 上山が言った。 「高校野球はそんなに甘くないだろ」 「おうおう。大物はやっぱり言うことが違うねぇ」 俺と上山のやり取りを聞いて浅野は苦笑い。 金子はケラケラ笑っている。 浅野は元チームメイトで、どんな奴かそれなりに理解しているつもりだ。 温厚な性格で、自己主張はあまりせず 良く言えば空気を読んで動いている。悪く言えば事なかれ主義。 金子に関しては、中学も違うし、ほとんどどんな奴なのかも知らない。 上山の連れというだけで一緒に来ただけだ。 上山の腰巾着で、最近はいつも一緒にいる。 はっきり言って、俺は金子をあまり好きではないし 金子も俺にはあまり近づこうとはしない。 アイツの第一印象は身長も体重も至って平均的。 運動神経もそんなに悪そうには見えない。 いかにも人の好さそうな雰囲気だった。 そして一つ、はっきりとわかったことは 野球が大好きなんだろうなということ。 野球部の練習を、目をキラキラさせて 食い入るように見つめていたからだ。
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