序章

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序章

国土を省みぬ無責任な主張 華やかな消費生活への憧れ 終わりのない内戦 襲いかかる温暖化による干ばつ 終末的な世相の中で アフガニスタンは何を啓示するのか 見捨てられた小世界で 心温まる絆を見いだす意味を問い 近代化のさらに彼方を見つめる (N医師、ある日本の新聞への寄稿文) ある日本人医師が愚かな銃弾を受けて亡くなられたことをニュースで知り、あらためて彼の人生をかけた尊いおこないに思いを()せました。 当然、おれはアフガニスタンの大地、空、風、太陽の光もまったく知りません。 しかし乏しい想像力の限りを尽くし、ひとつの物語を書かせていただきたいと願いました。 ここに書かれていることはすべてフィクションであり、拙い描写と文章のなんでもない物語です。 もし少しでも、アフガニスタンの光を感じていただけたら幸いです。 愛犬シーズーのシーは、ベージュの柔らかな毛布から丸い顔を出して、一定のリズムで小さな寝息をたてています。 あたたかなぬくもりを感じながら… シーがそのくもりのないまなこで、アフガニスタンの太陽の光の下に立ったのならば、どんなことを感じるだろう。 おれの物語は、そこからはじまります。 02adde17-9d1a-4ec8-9535-6891fa4fc3c0
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