新歓って新入生を歓迎する気ない説

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「まず逃げる側の勝者の特権からねー!制限時間、二時間内に逃げきれたらなーんでも言うことを聞いてあげる権をあげちゃう!!」 一ノ瀬が声高々にそう言うと逃げる側の生徒からは拍手が起きる。俺は授業免除、いや、相談教室定休日の作成がいいな。よし、死ぬ気で逃げ回るってやる。 「次に鬼側の勝者の特権ー!それは!!捕まえた子の中から好きな子をひとり選んでデートできちゃう権~!!!」 すると鬼側からは雄叫びがあげられた。うるさすぎて逃げる側にいるチワワたちは耳を塞いで迷惑そうに左側にいる生徒を見ている。 「みんなこれで少しはやる気出たんじゃなーい?ちなみに生徒会は全員鬼側だよ~!!いっぱい捕まえるから覚悟しといてね☆」 ウィンクしながら言う一ノ瀬がなぜかこちら側を一瞬見た気がしたけど気のせいか。多分転校生狙いだろう。 「そんじゃみんな節度を守って精一杯楽しもうね~!あー、あと強姦とかそういう最低限のルールは校則に則って決められてるよ。最悪停学とかもあるからね。馬鹿な事考えないで、意中のあの子を射止めなよ!ってことで以上生徒会会計の一ノ瀬理久でした!」 元気よく手を振りながら一ノ瀬は壇上を降りていった。そしてまた浅海に入れ替わる。 「理久、ありがとうございました。次に生徒会長より挨拶です」 そうして浅海と榊原が入れ替わる。生徒は榊原の色気にハァハァと息を荒らげているが、騒ぐと榊原の機嫌が悪くなることはわかっているため何も言わない。 「あー、まあしっかり楽しめ。問題を起こすな以上だ」 短く閉めたが生徒の緊張感を持たせることには成功しているだろう。 「そんじゃみんな行くよー?」 「鬼側は逃げる側が体育館を出て五分経ってから動き出すよ?」 「「よーい!スタート!!」」 双子の掛け声で逃げる側の生徒は一斉に駆け出す。俺も流れに身を任せて体育館を出る。とにかく勝負はもう始まっている。俺はもう既に隠れる場所を決めているためそこに移動する。そこでじっとしていれば捕まることはまずないだろう。ずるいって?そんなことないし、これこそ委員長の優遇だ。 走ってその場所に向かっていると、近くにあるスピーカーから声が聞こえてきた。 「ぴんぽんぱんぽーん!どうも放送委員会の委員長、小花衣しずるでーす!これから僕達放送委員が誰が誰に捕まったとか実況していきます!あー、それと逃げる側の君たちは同じ場所に五分間留まってたら随時放送していくからね!頑張って~!」 周りにいた逃げる側の生徒はもう終わりだ~~と嘆いている。逃げる側の生徒は奇跡的に小柄な体型の生徒が多く、みんな隠れてやり過ごすつもりだったんだろう。 ちなみに俺も運動は中の下くらい。無理ゲーすぎる。
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