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そんなに見てたら何かしたいのがバレるって。
心の中で突っ込みを入れているとウェイターが料理を運んできた。次々と並べられる鮮やかな創作料理「おぉ」と声が漏れる。
料理に舌鼓しつつこの有意義な時間を堪能していると、数人のウェイターがそわそわしだした。すると一人のウェイターがカウンターの奥で花束を持っているのが見え(え?あれってもしかして私に?)
さっきから彼が落ち着きがない理由がこれでわかった。きっと秀二が何かを合図したらあの薔薇を持ったウェイターが私の元に来るのだろうと想像を膨らませると顔がニヤニヤしてしまう。
駄目だ。彼のサプライズがバレてたと知られたら絶対にガッカリする。なるべく悟られないようにしないと。
あたふたしていると後ろから急に『結婚してください』と聞こえ私は思わず振りかえると、まさにカップルが今プロポーズをしているところだった。相手の男の子は、彼女の席の前で膝まづき指輪を差し出している。
私は、心の中で(あッ)と漏らし燃え上がっていた炎が風前の灯火となった。勘違いしていた自分がとてつもなく恥ずかしくなった私は秀二に小声で伝えた。
「ちょっとちょっと!後ろのカップル今からプロポーズするみたい」
自分でも思う大袈裟なリアクション。
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