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その後直ぐにウェイターが違うことに気づき薔薇は、無事私の元に届いた。砕けた秀二の心と共に……
私達は、会計を済ませると店の外の脇にあるベンチに腰かけた。そのベンチからは、キラキラと煌めく夜景を見渡すことができる。
「きれぇー。ねぇみてみて。あの辺うちじゃない?」
………………
いつもならそっけない返事が帰ってくるが帰ってこない。隣に座る秀二の方を見ると、肩を落とし項垂れていた。
「ねぇ。大丈夫だよ?嬉しいよ?」
実際本当に嬉しかった。仕事で忙しいだろうにお店を予約してくれ、花束まで用意してくれた。それだけでも私の為に頑張ってくれた事が十分伝わってくる。
途端に旦那は立ち上がり私の前に腰を落として片膝をついた。
普段はあまり見せない鋭い眼光で私の顔を見る。
え?なに?なに?
彼の瞳は、力強く迷いがなかった。これは想定してなかった。心の準備が出来ていない私は目を泳がせる。
すると彼は着ていたジャケットのポケットから赤く小さな箱を取り出した。
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