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「約束……遅くなってごめん」
え?約束。なんの事か分からづ頭の中の記憶の糸を探った。その時頭の中で閃光が走る。さっき思い出していた指輪を無くしたときの記憶が甦る。
指輪を無くした彼が私に言った『ごめん。絶対ちゃんとしたの買い直して渡すから』
記憶が戻った途端に頬を暖かい雫が流れる。
私は目を拭いながらもクスッと笑う。
「あ、今笑ったな」
「ごめーん」と軽くベロを出しウインクすると、ベンチから立ち上がり左手を夜空に向かって伸ばした。指輪にはめられた宝石が星に負けづと光輝を放つ。
そして振り返り後ろ手に手を組むと、ゆるりと風が吹く。顔にかかる髪の毛をかきあげコケティッシュな表情で彼を見つめる。
「私秀くんのお嫁さんになれて本当によかった」
彼の体に腕を両手を回し抱き締めた。秀二もそれに応えるようにお互い強く抱き合う。そして静かに唇を重ねた。
ヴゥゥゥ、ヴゥゥゥ
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