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遠慮がちにドアがノックされた。
「マキ、いいか?」
ヨウイチの声。
「どうぞ?」
「邪魔するよ」
本当に邪魔。と思ったけど口には出さない。
「何?」
「いや別に。今日は変わったことなかった?」
「特に何も」
「そっか」
淡々とした会話。ヨウイチは部屋を見回し、出ていった。私が廊下を駆けていったので不思議に思ったのかもしれない。
"光"はとっさにクローゼットに入れていた。ヨウイチに報告の義務はないし、知られたくなかった。
ここに在るのが不思議。明日になったら消えているかな? まあそれならそれで仕方ないけれど。
翌日。制服に袖を通し──今日は休みだっけ。と思い出した。
"光"は消えてなかったし、そこに在った。
何か与えないと消えてしまうのかな? 植物には水と光のように、車にはガソリンのように。
反応の違いを見たくて、ビンに入っている"光"を違う容器に移してみた。このほうがなんとなく、居心地はよさそう。
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