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電源を入れると、無数のフォルダ。そこには世界の真実を告げることが書かれていた。
人類は滅びた原因は、人の体にのみ作用す細菌兵器。そして開発者の名前が記されていた。
開発者の名前は、前田洋一。ヨウイチだった。
使用された兵器の種類や方法は別のフォルダに記載されているようだ。
これがヨウイチの隠していたこと? ヨウイチは何がしたかったのだろう? 目的は?
村全体を映すモニター。だとしたら私が"光"を拾ったことは、ヨウイチも知っていた? だけど知らないフリをした?
私はふと疑問を持った。このフォルダを作成したのは誰なの? もしヨウイチなら、何のために記録を残したの?
最後のフォルダを開き、私はそれを確認した。
「……!」
そういうことだったのね。
私は真実を受け入れて、モニタールームを後にした。
住居に帰ると、ヨウイチは眠りについていた。いやそう見えるだけか。
コールド・スリープもこの記憶も全て嘘だった。
人類を滅ぼしたヨウイチ。そして"光"を拾ったからたどり着いた真実。知らないほうがいいこともある。"光"を照らしてはいけない真実もある。
"それ"はパソコンやスマホを通して"光"を見た者を人を死に追いやる、悪意のウィルスだった。
今やパソコンもスマホも一人一台所持の時代。変死が相次ぎ、皆が感心を持ち『PC』や『スマホ』で検索する。その結果──死に至る。
私はとんでもない兵器を開発してしまったようだ。罪の意識に悩み、精神を病んでいた。そこで夫であるヨウイチが、自身が生まれ育った田舎村に私を連れてきてくれた。
脳科学の実験をしていた夫は、私に疑似の記憶を植え付け、コールド・スリープから目覚めたように錯覚させる。
絶えず部屋を訪れてくれていたのは、私がいつ記憶を取り戻し、錯乱するかもしれないという配慮だったのだ。
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