X12(最終回)

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デストの剛腕を真上に避け、腕に乗り上げるアル。そのまま腕を踏み台にして解体電磁波を放つ。しかし、電磁波はデストのメタルボディには通用しなかった。 「聞かないね!!」 デストは次の一発をかます。アルは危機一髪で避け、体制を立て直す。 {く…キリがない…。このまま防がれれば、こっちの電磁義手のエネルギーが切れる…} 生き残った敵部隊が再び銃を向けてアルを狙い始める。その動きに気付いたレオ。「敵がアル先輩を狙ってます!!」 レオの掛け声にゼットが応える。 「何!まだいやがったのか!ロト、オルセ!兵士を狙え!!」 《了解!!》 ロトとオルセが敵部隊の援護を対処する。 「アル先輩!敵の援護は私達に任せてください!!」 少数ながらも、敵部隊の援護の応戦をしている仲間たちの姿を見て、心が引き締まったアル。 {みんな、生身の身体で頑張ってる…こいつは私がやらなきゃ!} 「休憩はお終いだ!」 デストはアルに猛攻撃を仕掛ける。片腕にも関わらず、連打攻撃をする。さすがに避けきれないアルは、義手でガードしてしまう。デストの拳がアルの義手にめり込む。 「く…なんて力なんだ…!義手が砕ける…」 デストの拳がアルの義手を破壊し、生身の部分に直撃する。 「うわあああああ!!」 30m程吹っ飛ばされて地面に転がされた。義手は完全に砕かれ、デストと同じく片腕だけになってしまった。 「女が僕に勝てるわけがない!引き千切ってやる!」 デストは、ぐったりと倒れたアルに向かって行く。 敵部隊の援護隊を対処しているゼットが、応戦しながらアルに叫び掛ける。 「アル!しっかりしろ!!そいつを倒せるのはあんただけなんだ!!」 アルの元に駆けつけたいが、援護隊の猛攻に足止めを食らうゼットたち。 残りの力を振り絞りなんとか立ち上がる。頭から血がボタボタと垂れていた。 「そう…だね…」 「まだそんな力が残ってるのかい?」 アルはデストの胸部の一部が錆びている事に気付く。そして錆びた部分に鉄粉のような黒い粉がこびり付いていた。 {胸部が少しだけ錆びている…。あの黒い粉はなんだ…!?} 衝撃で破れたポケットから黒い粉が溢れている事に気付いたアル。 {アタシのポケットから出てる…?これは!破裂したカイロ!?} ポケットを探ってみると破裂したカイロが出てきた。左下には共星万博のロゴマークがついていた。 {そうか!カイロの中に入ってる鉄粉は、鉄を酸化させる!アタシのポケットの裂け目から、破裂したカイロの中身が奴にかかったのか…!このカイロは入場者全員に配られている…。きっとレオたちも持ってるはずだ…} 残りの力を振り絞り、デストの攻撃を回避する。耳に付けた無線でレオたちに話しかけた。 「みんな…万博会場で貰ったカイロ持ってる?」 レオとゼット、続けてロト、オルセが「持っている」と答えた。 「危険を承知で…頼むんだけど…。カイロの中身を奴のメタルの部分に掛けてほしいんだ…」 アルの作戦に答えるレオ。 『考えがあるんですね…』 「カイロの中に入っている鉄粉は、鉄を酸化させるんだ…!」 『酸化…?錆びるってことですか!?』 「アタシも攻撃を避けながら、奴のメタル部分に鉄粉を付けてるんだけど…。どうみても足りなくてね…」 『わ、分かりました!!』レオは無線を切り、作戦を実行する。 「頼んだ…よ…」 アルの体力は限界に近づいていた。足がふらつき動きが鈍くなってしまう。 その瞬間を見逃さなかったデストは強烈なストレートをアルに食らわす。 飛ばされた身体は、猛スピードで屋台に突っ込む。アルの身体と制服はボロボロになっていた。 「何をごちゃごちゃ言っている!負け惜しみか?」 デストはぐったりとしたアルの身体を握り上げる。 レオが、ゼット、ロト、オルセに無線を掛ける。 「私に考えがあります!敵の援護隊はまだ隠れてます。私がみなさんのカイロを回収して、アル先輩の所へ行きます!狙撃班の皆さんは援護をお願いします!」 レオの作戦に答えるゼット。 『了解した!パトカーを盾にしてこちら側に回れ!」 「はい!」 レオは狙撃班のいる所へ走る。
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