奈美その一

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奈美その一

 1983年、僕は中学三年生だった。あの年は自分にとって衝撃的な事が起こった。それまで清純派で売っていた早乙女愛がロマンポルノ映画(女猫)に主演したのだ。  それを初めて知ったのは父が買って来た週刊誌を父の留守中にこっそり見た時だった。その記事の中には白黒ではあったが、早乙女愛のヌード写真が掲載されていた。  僕はあの時、ショックと興奮のあまり胸が苦しくなる位、動悸が激しくなった。当時、早乙女愛は25歳だったが、僕が知っていた早乙女愛より頬の肉が程よく削げてスリムになって全然いい女になっていた。何より驚いたのは細いのに乳房が豊かに張り出していることだ。俗にいうロケット型おっぱいという奴で大きいのに全然垂れていなくて突き出ているのだ。  それで僕は峰不二子のイメージに最も近い女と思える程、いい女だと分かったのに早乙女愛を軽蔑した。青年の頃の僕は妙に堅い所があって理想の女性に潔癖を求める傾向にあったので女優は脱ぐ仕事があるとは言え、事もあろうにロマンポルノ映画に主演するなんて清純もへったくれもあったもんじゃないと怒りを覚え、裏切られた気がして早乙女愛のファンでいられなくなってしまったのだ。しかし、多感な時期に余程、インパクトを受けたのだろう、僕はあの時以来、いい女の第一条件はロケットおっぱいであることと定義づけ、筋金入りのロケットおっぱいフェチになった。  当然、僕は恋人にするならロケットおっぱいで可愛い子がいいと思うようになったが、中々そんな子にはお目にかかれないもので況して身の回りの子は発育途上にあるのだから猶更だ。  それで恋人は大人になってから探そうと本気で思った僕は、周囲の女子を歯牙にもかけず屁のようにしか感じていなかったが、中学2年の時、人気者だったのに数奇な運命をたどって高校時代、挫折して落ちぶれた儘、大人になってしまうと、いい女という者はそんな男には目もくれないもので早乙女愛のようないい女を恋人にすることは夢のまた夢となってしまった。
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