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「ツッキー、今日の昼休みはドッジボールしない?」
「いいじゃん!しようよ!」
私、川北月子は不自然な場所から真っ白になっているノートを片付けて立ち上がる。
気づけば理科の授業は終わり、給食の準備が始まっていて、私も机をグループの形に動かした。
手を洗いに廊下に出れば、幼馴染みのヒナちゃん、山西日向(ヒナタ)と鉢合わせる。
「ツキちゃん、大丈夫?」
「え?何が?」
「何か変」
「何かって何よ。それより、ヒナちゃんもドッジボールする?」
「ううん。私は読みたい本があるからしない」
「そ。わかった」
給食を食べて、さっさと片付けて、気づけばクラスの大半でドッジボールをして、チャイムの音でクラスに戻る。
みんなで笑いながら帰ると、教室にはヒナちゃんが独りで本を読んでいる。
「ヒナちゃん。放課後もさ、ドッジボールしよって話してるんだけど、一緒にする?」
「ううん。本読んで待ってるよ」
私のパパとヒナちゃんの両親は仕事仲間で仲も良く、社宅で家も隣同士なので、ヒナちゃんはいつも私の家で一緒に過ごしてる。
最近は危ないから一緒に帰ってくるようにも言われていて、私たちは常に一緒だ。
一緒だけど、全然違う。
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