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「この間のテストを返すぞ」
午後の授業で先生の声にクラスはざわめいて、私の心にも緊張が走る。
名前を呼ばれて算数のテストが返される。
「ツッキー、点数どうだった?」
「86点だった。アイちゃんは?」
「92点!ここの不等号は勘で入れたんだけどね」
隣の席のアイちゃんと喋りながらも、私の目はチラチラとヒナちゃんを見る。
ヒナちゃんもテストが戻ってくるとわざわざ私の元に来た。
「ツキちゃん、何点だった?」
「86点だよ」
「私は80点だった」
「そっかー」
気のないフリして内心はホッとする。
その後もいつも通り授業が続いて、放課後にはみんなでドッジボールして、塾や習い事で人数が減ってきたタイミングで終わりにする。
校庭の隅で本を読んでいるヒナちゃんに声をかけて一緒に帰った。
「ただいまー!」
「ただいま」
「お帰りー」
ママが夕食を作り始めていて、私たちは手を洗ってリビングに行く。
私は早速ランドセルを開けて今日の宿題を出す。
「ヒナちゃん、宿題先にやっちゃおう」
「でも、もう少しでこの本が読み終わるの」
「ヒナちゃん、ツキコの言う通り、先に宿題を終わらせてからにしなさい」
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