月と太陽

6/6
前へ
/6ページ
次へ
家に帰っていつものように先に宿題を片付けて、ヒナちゃんと遊ぶ。 ママが買い忘れとかで出かけていったが、その間も何の問題もなかった。 しかし、帰ってきたママの言葉に私は心臓が止まりそうになった。 「お店でね、アイちゃんのママに会ったの。今日、テストが戻ってきたんでしょ?ツキコ達の点数が良かったって聞いたんだけど、本当?」 私は自分のテスト用紙を見せる。 90点の文字。 だけど、ママはそこには触れず、ヒナちゃんの答案用紙も見せるよう要求する。 ママは私よりも高い点数を見て、「2人とも頑張ってるのね」とだけ言い捨てて、無言で食事の準備を始めた。 思い返せば、私の評価はいつだって、ヒナちゃんよりできているか、できていないか、とか、ヒナちゃんがいるから優しいだの、協調性があるだの言われている。 この間の理科の授業。 月の光は太陽の光だと聞いて、私の光、私の評価もヒナちゃんという存在を通して光っている気がした。 私って何なんだろって思ってしまった。 私の元々の価値はどこにあるんだろうって。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加