第三章 インタビュー

2/6
前へ
/37ページ
次へ
ベンチに戻って来た原田を監督が出迎えた。 「あ~、すいません。お待たせしました。では、原田をよろしくお願いします」 監督はそう言った後、打撃コーチらと共に木森の打撃指導をしに行った。 「えっ、ちょっと……!?」 原田は、目を疑った。 なんと、取材相手は昨日のひったくりの被害を受けた女性だったのだ。 「初めまして、広報の三橋美奈子です。今日は、よろしくお願い致します」 美奈子は名刺を渡し明るく微笑んだ。 名刺には【ヤクルト球団事務所広報課 三橋美奈子】と書かれていた。 「あ~、え~、原田智です。こちらこそ、えー、今日はよろしくお願いします」 名刺を交換しようとするも、原田は名刺を持っていなかった。 とりあえず彼女の名刺を貰い握手をした。 (そっか、サングラスしてたからバレてないのか) 昨日の出来事を思いだした原田はちょっと安心した。 「私の顔に何か?」 原田はいつの間にか彼女の顔をじっと見ていた。 「あぁ、いえ。すみません」 「ここでの、質問もなんですし、放送室に行きましょうか」 美奈子が原田の様子を伺うため聞いてみた。 「そうですね。そうしましょうか」 二人はベンチ裏の通路を通り放送室へと入っていった。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加