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ベンチに戻って来た原田を監督が出迎えた。
「あ~、すいません。お待たせしました。では、原田をよろしくお願いします」
監督はそう言った後、打撃コーチらと共に木森の打撃指導をしに行った。
「えっ、ちょっと……!?」
原田は、目を疑った。
なんと、取材相手は昨日のひったくりの被害を受けた女性だったのだ。
「初めまして、広報の三橋美奈子です。今日は、よろしくお願い致します」
美奈子は名刺を渡し明るく微笑んだ。
名刺には【ヤクルト球団事務所広報課 三橋美奈子】と書かれていた。
「あ~、え~、原田智です。こちらこそ、えー、今日はよろしくお願いします」
名刺を交換しようとするも、原田は名刺を持っていなかった。
とりあえず彼女の名刺を貰い握手をした。
(そっか、サングラスしてたからバレてないのか)
昨日の出来事を思いだした原田はちょっと安心した。
「私の顔に何か?」
原田はいつの間にか彼女の顔をじっと見ていた。
「あぁ、いえ。すみません」
「ここでの、質問もなんですし、放送室に行きましょうか」
美奈子が原田の様子を伺うため聞いてみた。
「そうですね。そうしましょうか」
二人はベンチ裏の通路を通り放送室へと入っていった。
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