第二章 最悪の休日

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「もしもし、智?初完封おめでとう!!」 その声は、親友でもありライバルでもある阪神の瀬川からだった。 「あ~瀬川。ありがとう!!今、関タイ見ていた所だよ。」 「良いよな~お前は、ローテの軸に入って活躍しちゃって。俺なんか、対左投手の時しかスタメンで出れないだぜ。」 瀬川はそう言って原田に愚痴を溢した。 「守備が下手糞なんだよ!守備をあげろよ、守備を!!」 原田は瀬川に言葉の毒を浴びせた。 「うるせぇ!!絶対、今度の神宮でお前から場外弾打ってやる!!」 「ほお~、勿論代打出場でしょ?いいよ。打ち取って、鳴尾浜に強制送還させてあげるよ。」 互いの毒舌合戦に笑いが込み上げてくる二人。。 「それにしても、良いよな~阪和の選手は必ず新聞の1面に載るのにさ、山の手は優勝した時以外は基本的に1面に載らないんだぜ?」 今度は原田が瀬川に愚痴を溢してきた。 「自分の球団を皮肉ってどうする?なんなら阪和に移籍するか?」 原田の皮肉混じりの愚痴を聞き瀬川は悪戯に笑った。 「いや、阪和は辞めとくよ。あのヤジをまともにくらうと寿命が縮まる。」 瀬川の誘いに原田は阪和を皮肉るコメントを残し断った。 「結局は山の手が好きなだけじゃねーかよ!!まぁ、それでこそ、原田だけどな。」 電話越しから豪快に笑う瀬川の声が聞こえてきた。 「まぁ、昔から山の手ファンだったしな。」 「たまには、息抜きに散歩でもしろよ。あまり、神経質になりすぎると体に毒だからな。」 瀬川は神経質な原田を気遣った。 「嗚呼。肝に命じとくよじゃあな。」 原田は電話を切りため息をついた。 「ふぅ~、さて、ジョギングでもしますか。」 原田はそう呟くと黒のフード付きのジャージに着替え、スポーツサングラスをかけて外へと出ていった。
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