彼女にとって俺は

10/10

275人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ
「行くなよ……合コンなんか」 「ん?」 「……合コンなんて行かなくても、案外身近にいるんじゃないの?」 「いや、私は部活あるし行かないけどさ。 ……ていうか、誰よそれー? 」 「さあね。自分で考えてみたら」 「え~……身近ねぇ……うーん、あっ! 武田くんとか!? な訳ないか」 なんでそこで武田が出てくんだ…… ―――俺だよ。 その一言を、既に温くなったカルピスソーダと一緒に、喉の奥に飲み込んだ。 気の抜けた炭酸はただただ甘ったるいだけで、パンチのないぼんやりとした味だ。 今の自分と重なって無性にイライラして、俺はペットボトルの残りを一気に飲み干した。
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!

275人が本棚に入れています
本棚に追加