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「……いませんよ、彼女」
「えー!そうなの? 久世くんって結構格好いいのに! どーして彼女いないんだろ、性格に難あり?」
こういう話になると途端に加勢してくるのが、女の先輩達。
便乗してからかってくるから、タチが悪い。
「……誉めてんのか貶してんのかどっちっすか。
放っといてくださーい」
「なんかいつもスカしてるからじゃない?」
「…………先輩だって彼女いないじゃん」
ケラケラとバカにしたように笑う蕪木先輩に、俺もいい加減ちょっと反撃。
「オレは出来ないんじゃなくて作らないの!」
「じゃあ俺もそうです」
「ワハハハ!生意気~」
こういうふざけたやり取りも嫌いじゃない。
一頻り笑ったあとで、俺は何の気なしにカメラを手に取った。
ファインダーを覗き込みながら、ぐるりと部室のドアの方へ向ける。
人物、ね……
撮りたいと思う人と言ったら、
一人しか思い当たらないんだけど……
その瞬間、ギィと鈍い音を立てて部室のドアが開いた。
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