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「……ムネ、正宗ってば!」
「……ん」
肩を揺さぶられながら名前を呼ばれて、微睡みの中から急速に引っ張り起こされる。
「……どわっ!」
ガタッ ゴン ガシャンッ!
デスクに突っ伏してうたた寝していた俺は、驚きのあまり仰け反って椅子ごと派手にひっくり返ってしまった。
「ちょっ! 何やってんのー!」
ゲラゲラ笑いながら俺を見下ろしてるのは……
案の定、詩乃だ。
……ということは、さっきのは、夢だったのか……
「いっ、てぇ……
何やってんのはこっちのセリフなんだけど」
目を覚ました瞬間、あんな至近距離に詩乃の顔があったら、そりゃこうなるだろ。
まるでわかってない様子の詩乃に、俺は一発デコピンをかましてやった。
「いったー!女子に手をあげるとかサイテー!」
「大袈裟なんだよ。軽くだろ」
ホントに手加減しまくって軽ーく当てただけなのに、いつまでも痛がる詩乃。
キャンキャン言って、ほんと仔犬みたいなやつ……
そんな詩乃を見てたらクスッと笑いが溢れて、気づいたら俺は、詩乃の額に手を伸ばしていた。
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