こっち向いて

10/11

275人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ
“そんなんじゃないよ" 確かに俺達は、武田が勘違いしたような、そんな関係じゃない。 そうだけどさ…… あんな風に全力で否定されると結構ショックだ。 本当に一ミリもそういう対象じゃないんだなって。 「久世ぇ……なんかごめん! 俺、ホンット間が悪くて……!」 「武田は全然悪くないって。俺の方こそ、散々ただの幼馴染みだって言ってきたのにあんなとこ見られて……カッコ悪いな」 「久世……」 「むしろ武田が来てくれて助かった。あのままじゃ、勢い余ってなんかやらかしてたかもしれないから」 そう言って苦笑いすると、武田は赤い顔をして何とも言えない表情を浮かべた。 「おっまえ……! いつも涼しい顔して、実は胸にアツいパッションを秘めたヤツだったんだな!」 「……なんかそれすごいダサいからやめてくれる」 「でもさ、端から見たらお前らどうみても両思いなのになぁ。皆川が久世のこと特別に思ってるのなんて、誰が見ても一目瞭然だろ」 ん、とカフェオレの缶を差し出されて、 俺はそれを「さんきゅ」と受けとる。
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!

275人が本棚に入れています
本棚に追加