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“そんなんじゃないよ"
確かに俺達は、武田が勘違いしたような、そんな関係じゃない。
そうだけどさ……
あんな風に全力で否定されると結構ショックだ。
本当に一ミリもそういう対象じゃないんだなって。
「久世ぇ……なんかごめん!
俺、ホンット間が悪くて……!」
「武田は全然悪くないって。俺の方こそ、散々ただの幼馴染みだって言ってきたのにあんなとこ見られて……カッコ悪いな」
「久世……」
「むしろ武田が来てくれて助かった。あのままじゃ、勢い余ってなんかやらかしてたかもしれないから」
そう言って苦笑いすると、武田は赤い顔をして何とも言えない表情を浮かべた。
「おっまえ……! いつも涼しい顔して、実は胸にアツいパッションを秘めたヤツだったんだな!」
「……なんかそれすごいダサいからやめてくれる」
「でもさ、端から見たらお前らどうみても両思いなのになぁ。皆川が久世のこと特別に思ってるのなんて、誰が見ても一目瞭然だろ」
ん、とカフェオレの缶を差し出されて、
俺はそれを「さんきゅ」と受けとる。
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