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「蕪木先輩は? あの人部長なんだから適任でしょ」
「アイツは夏休み中短期留学で居ないんだよ。登校日に撮影をしたいからさ」
部長……こんな時に……
あの人チャラそうに見えて、実は秀才なんだよな。
「シマセンが撮ればいいじゃないですか」
「ダメ! 俺センスないもん」
確かに……ってか自覚あったのか……
「俺だってな、タダでとは言わないぞ……?」
シマセンは、デスクの下からおもむろにカメラケースを取り出した。
「お前のカメラに合う望遠レンズと広角レンズ。引き受けてくれるなら好きなの持っていっていい!」
ケースの中にズラリと並んだ、輝かしいレンズ達。
趣味にお金を惜しまないシマセンのコレクションだ。
ゴクリ……
無意識に喉が鳴って、思わず手を伸ばしてしまう。
「交渉成立ということで?」
……ったく、準備良すぎだろ。
こんなお宝を目の前に、NOとは言えない。
「……出来映えは保証しませんからね」
あぁ…………まんまと嵌められた感。
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