彼女にとって俺は

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「ありがたや~! 持つべきものは優しくて頭のいい幼馴染みだね。じゃ、私先に行くね!」 彼女は俺のリーダーのノートを胸に抱いて、ステップを踏むように自分の教室へ駆けていく。 相変わらず調子が良いよなぁ。 つーか、そういう仕草がイチイチ…… ……ゴホン。 あーぁ、もう。 遠ざかっていく後ろ姿を眺めながら、 俺は今日も小さくため息をついた。 人見知りしないサバサバとした性格で、 スレンダーな体型に似合わず意外と童顔。 くるくる変わる表情の豊かさも相まって、 彼女の周りはいつも賑やかだ。 男女ともに好かれるタイプ。 昔からそうだった。 ―――皆川(みながわ) 詩乃(しの)。 俺にとっては初恋を拗らせてる相手であり、 そして彼女にとって俺は…… ただの“幼馴染み”ってやつ。 あ、 自分で言ってちょっと凹んだ……
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