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「お!? 正宗、随分スッキリしたなぁ」
シマセンが、俺を見るなり目を見開いた。
「……まぁ、伸びてウザったかったんで」
……って言うのは、半分口実。
最近のモヤモヤウジウジした自分自身を切り捨てたくて、久しぶりにバッサリと短くした髪。
「もしや、失恋か?」
「ゲッホ、ッ!……はぃ!?」
古いわ!って突っ込みたいとこだけど、今の俺にはシャレにならない……
面白いくらい分かりやすく動揺してしまった俺を、シマセンは大口を開けて笑った。
「はは!冗談だけど図星だったか。元気出せよ」
シマセンは、短くなった俺の襟足をザガザカと乱暴に触ってくる。
「……セクハラで訴えますよ」
「うぉい!勘弁しろよ」
「それより、最初はバスケ部でしたよね?」
「おう。練習風景からの集合写真な」
今日は登校日。
相変わらず茹だるような暑さだ。
俺は額の汗を拭って、手元のリストに視線を落とした。
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