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「キミ達の会話は、毎度のことながら恋人同士の会話にしか聞こえませんなぁ」
横からひょこっと顔を出したのは、クラスメイトの武田。
そういえば、入学早々、詩乃のさっきのような発言がクラスをざわつかせたことがあったっけ。
武田にも他の奴らにも散々追求されたけど、
「ただの幼馴染みだって」と、何度説明したことか。
今では俺らがこういう会話をしていても、誰も気にする人はいなくなった。
恋人同士……ね。
「……だったらいいんだけど」
「え? なんて?」
「や…………何でもない」
“ただの幼馴染み”
その言葉を発するたびに、ひそかに胸が痛いんだ、なんて。
自業自得なのに、どの口が言えるだろうか。
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