一人の男として

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「なんか……正宗の身体冷たい。冷気を感じる」 「え、あ……シャワーで水浴びたからかな」 「……風邪引くよ? 今カレー持ってくから、そっちで座ってて」 「うん……」 ぎこちない空気がお互いに流れてる。 きっと、詩乃だって感じてるはずだ。 それが俺の行動のせいであるのは間違いないけど…… その事に何も触れない、触れたがらない詩乃の考えてることが、イマイチ分からない。 やっぱり……無かったことにしたい、って事なのか。 ―――“自分の気持ちにも誠実なヤツは、ダサくたって最高に格好いいと思うぜ!” シマセンはああ言ってくれたけど、一番向き合わなきゃいけない相手にはあと一歩踏み出せない臆病な自分に、ほとほと呆れてしまう。
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