彼女にとって俺は

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――――――― 夕飯を食べ終えてテレビのチャンネルを回していると、玄関のチャイムが鳴った。 「こんばんは~」 「詩乃ちゃんいらっしゃい」 「おばさんこれ、おばあちゃんちからたくさん送られて来たからお裾分け!」 「わぁー立派なナス! いつも悪いわね~ありがとう」 母さんと話している詩乃を横目に、俺は冷蔵庫からカルピスソーダのペットボトルを二本取り出した。 「(二階)あがれば」 「あ、うん」 「詩乃ちゃんごゆっくりねー」 「ハーイ」 年頃の男女が部屋で二人きりだというのに、親にも本人にも、全く気にもされない。 幼馴染みの特権ではあるけど、正直……男としてはちょっと複雑だ。
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