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入賞できるなんて思ってもみなかったし、ましてや優秀賞なんて……
まだ、信じられない。
……ヤバい、心臓が早い。
蕪木先輩と別れて、人がまばらな教室で俺は静かに興奮を抑える。
封筒の中の書類を見直してみると、入賞作品は、サンフィルムの本社に併設されてるギャラリーに一ヶ月展示されるようだった。
詩乃……
勝手に応募してたことを知ったら、何て言うだろうか。
間違いなく怒られるだろうな。
でも、後悔はしてない。
あの写真は……
俺の目から見た彼女を、全て物語ってるんだ。
俺は、荷物もそのままに教室を飛び出した。
真っ直ぐグラウンドへ向かって、ただただ走る。
運動がめっきりダメな俺は、すぐに息が上がって、足が縺れそうになる。
だっさいな、ほんとに。
だけど……ろくに行動しないで傍観者でいた昨日までの俺よりは、ずっとマシだ。
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