275人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ
ギャラリーの中はヒヤリと涼しくて、背筋が伸びるようだ。俺は深呼吸をして、メインホールへ向かう。
駅から少し歩いたところにある、サンフィルムの本社ビル。
その横にあるギャラリーは、普段はさまざまな催し物や展示に使われている所で、俺も過去に何度か来たことがあった。
週末ということもあって、フォトコンテストの会場内はそこそこ賑わっていた。
俺は、あらかじめシマセンからもらっていた受賞者専用のパスを受付で見せて、会場に入った。
受賞者の写真が部門ごとに並ぶ。
俺はそれを流し見しながら、自分の写真を探した。
「わ、これ凄く素敵……」
「ホントだ、このモデルの子可愛いね」
後ろから誰かが話す声がして、何気なく視線を向けると。
「…………っ」
ポスターサイズに拡大された一枚。
写真の中から優しく微笑むオレンジの瞳に、
俺は息を飲んだ。
あぁ……
…………詩乃、やっぱり綺麗だ。
最初のコメントを投稿しよう!