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俺のソファに我が物顔でうつ伏せになって、詩乃は真剣に漫画を読んでいる。
ウチに来るときは大抵部屋着だから、詩乃は今日もゆったりとしたTシャツにショートパンツという、何とも際どい格好。
ある意味……俺のこと本当に男としてみてないんだな、と痛感させられる。
そんなことは、もうずっと前からわかりきってることだけど。
幼馴染みという距離感に甘んじて、
この関係を崩すのも怖くて、
いつまでも踏み出せないままでいる俺は大概ヘタレだ。
「ねぇ」
「ん~?」
俺の呼び掛けに、詩乃は視線を漫画に落としたまま気の抜けた返事。
「前に言ってた人とはどうなったの。
あの北高の……」
「あぁ北高の先輩? もう連絡とってないよ。
あれは友達に強引に紹介されただけだから」
ほら。
今だって俺は、詩乃に彼氏が出来なくてホッとしてる。
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