いとしいひと

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「そうだよ。 ――――好きだから。詩乃のこと」 10年間、ずっと言えずに閉じ込めていた気持ち。 一度伝えてしまったら、もうセーブできないほどの感情が一気に溢れだす。 「す、……すき……って」 「家族みたいにとか、幼馴染みとしてじゃない。 このタイトルのとおり、愛しい、って意味だよ。 ずっと前から、詩乃のことが特別だった。 仲のいい幼馴染みじゃ……もう足りないんだ」 「……っ」 目に涙を溜めて必死に堪える詩乃を見てたら、なぜか緊張の糸が緩んで、ふっと笑みが溢れてしまった。 「ごめんな、何も説明せずに来てもらって…… どうしても見てもらいたかったから。 俺の目には、詩乃はこんな風に映ってるって」 視線を詩乃の写真に移す。 詩乃も、俺につられるようにもう一度写真に向き直った。 じっと壁の写真を見つめていた詩乃が瞬きをした瞬間、ぽろっと一粒、涙が溢れ落ちた。
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