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詩乃は、俺の手をきゅっと握り返した。
「……こうやって手を繋いだときの気持ちも、そういうんじゃないって言い聞かせてたけど…………やっぱり、誤魔化せないみたい。
正宗のファインダーに映る女の子は、私だけじゃなきゃ嫌だって、気づいちゃった。
私、自分がこんな我儘で自分勝手だったなんて、初めて知ったよ」
一度俯いて、小さく息を吐いて。
それから再び顔を上げた詩乃は、赤く染まった顔を綻ばせてふにゃりと笑った。
「すき。
……正宗のこと、私も好きになってたみたい」
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