彼女にとって俺は

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本音を言えば、そりゃ他の男の話なんか聞きたくない。 カッコいいと噂の先輩の話も、クラスの男子の他愛もない話だって。 なんなら詩乃がハマってる韓国のダンスグループのイケメンボーカルにさえも、イチイチ嫉妬してる面倒くさい心のなかを悟られないように、必死にポーカーフェイス装いながら、内心ハラハラしてる。 我ながら滑稽だと思う。 そんな俺の胸のうちなんて知る由もない詩乃が、今まさに読んでる漫画のヒロインの口調を真似ながらぼやく。 「あーぁ、どこかに私のこと甘々に可愛がってくれる殿方はおられませぬか~!」 ―――いるんだけどね、ここに 「なんちゃって。あは」 ―――こっちは……本気なんだよ 「そういえばユミにも最近彼氏できたんだよ。ラブラブで羨ましいんだ~」 ―――どうしたら俺も男として見てくれる? 「今度ユミの彼の友達と合コンするとか、みんな盛り上がってたよ!」 ―――あー……いろいろ限界だよな………… 居心地の良かったはずのこのポジションが、逆に足枷のようになって身動きがとれない。 だけど、この関係じゃ満足できなくなってきてる自分がいるのも事実だった。
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